教えてドックとは?

教えてドックとは?

人間ドックに15年携わってきて気づくのは、私たち医療者が十分に検診のそれぞれの項目の重要性や意味を受診される方にお伝えしていないということです。

忙しい毎日を過ごしていると、健診で引っかかっても再検査や除菌、大腸カメラを受けるために予約し再度受診してという行動に移るにはそれなりの理解と納得が必要でしょう。

健康でありたいと思うのは万人の願いですが、やはり医療機関を訪れるのは面倒なものです。40歳以上は全員が特定健診、がん検診を受ける体制があるのも関わらず受診率が低いのは残念なことです。

教えてドックはこの問題を解決するお手伝いをしたいと考えています。2つのミッションを遂行します。

①人間ドックを行っている施設で、下記について対応している人間ドックのコースが提供されている施設をご紹介します。

  • 検査項目が十分にある
  • 健診費用や検査項目が適切
  • 健診に付随して過剰な検査や診療に誘導していない
  • 胃がん検診で胃カメラを選択できる
  • ヘリコバクターピロリ検査を積極的に行っている
  • 検査結果を分かりやすく説明し、適切な指示をしている
  • オプションでの大腸カメラ、マンモグラフィー、低線量胸部CT、子宮がん検診、PET等を提供している場合に記載

②人間ドックについての情報提供、Q&Aの設置

教えてドックの「教えて」は、お勧めする人間ドック施設と役に立つ医療情報をお教えしたいという意味でつけました。

教えてドックのミッション

13年間人間ドック専門のクリニックに従事してきて感じていることは、人間ドックを受けていただいても十分にお役に立てているかという疑問です。せっかく時間と費用を掛けて受けていただいた人間ドックが健康に寄与しなければ意味がありません。

人間ドックは特定健診とがん検診を同時に行うものです。
通常の健診と違い費用は自己負担になりますが、検査内容が詳細だったり、オプション設定でさらに詳しい検査が出来たり、一日で検査が終了するなどのメリットがあります。受診を希望する方も人間ドックを実施する医療機関もどんどん増えてきています。

健診の選択肢が増えてきているのは良いことですが、どの人間ドックを選んでいいか分かりにくいですね。
費用や検査内容が異なりますので、ご自身に合ったものを選ぶ必要があります。

医学の進歩によって、日本人の二大死因であるメタボリックシンドロームからの血管性病変やがんの多くは早期診断や予防ができるようになってきました。人間ドックはそのきっかけになる大きなチャンスです。
人間ドックを受けていただく日に前回の健診の結果をお持ちいただいて確認しているのですが、多くの方が結果内容を十分に見ていなかったり、あまり理解せず指示に従われてない例を拝見してきました。
「教えてドック」ではこのような事態を回避すべく、ご自身に合った人間ドックを受けていただき、その結果をもとに健康に役立てるお手伝いをいたします。

「教えて人間ドック」では、まずたくさんある人間ドックの中でおすすめできる施設をご紹介いたします。
選ぶ基準をご説明し御自身に合った人間ドックの探し方のアドバイスをいたします。
また、Q&Aを設置したり最新の医療情報のご提供もしてゆきたいと考えています。

正しい人間ドックを選ぶ重要性

ほぼすべての人間ドックに特定健診は含まれますが、がん検診の内容が差があります。

がん検診は一般的には40歳から始まり、2年に一度行われます。
がんによる死亡は死因の3割を占めます。がん検診では、早期でのがんの診断を目指します。
項目として肺がん、胃がん、大腸がんが共通で、女性には子宮がんと乳がんの検診が加わります。

表を見ると意外にがんを発症する頻度は高いことに気づきます。
男性は胃がん、大腸がん、肺がんともに1割前後が発症しています。
女性は特に胃がんと肺がんの発症が男性に比べて少ないのがわかります。喫煙率の低さが理由です。
一方では女性の乳がんは発症リスクが高く、子宮がんは低くなっています。

がん死亡数予測(2018年)

  • 男 女 計
    部位死亡数
    全がん379,900
    77,500
    大腸53,500
    45,900
    膵臓34,900
    肝臓27,000
    胆嚢・胆管18,600
    乳房(女性)14,800
    悪性リンパ腫12,600
  • 男 性
    部位死亡数
    全がん223,000
    55,100
    30,000
    大腸28,700
    肝臓17,600
    膵臓17,600
    前立腺12,400
    胆嚢・胆管9,400
    食道9,300
  • 女 性
    部位死亡数
    全がん157,000
    大腸24,800
    22,400
    膵臓17,300
    15,800
    乳房14,800
    肝臓9,400
    胆嚢・胆管9,200
    子宮6,700

日本人は多くが肺がん、大腸がん、胃がん、膵がん、肝臓がんでなくなっています。

ただ男女差は大きく、女性は胃がんや肺がんでの死亡は少なく、大腸がんでは差はありません。 女性の乳がんや子宮がんでの死亡数は多くはありません。

肺がんは、最大の発症原因は喫煙です。40代以降でブリンクマン係数(喫煙年数×喫煙本数)が400を超えている方は1から2年ごとに低線量胸部CTを受けることで、早期での診断が期待できます

胃がんと大腸がんは早期診断はもちろん、さらに予防ができる時代になってきました。
胃がんのポイントは胃カメラで早期診断をすることとできるだけ若いうちにヘリコバクターピロリ菌の検査を受けて陽性の場合は除菌治療を受け胃がん発症を予防することです。

女性が一番多く命を落としている大腸がんは、実はほとんどが予防できるのです。
大腸ポリープは40代から発生してきます。40代から始まるがん検診をしっかり受けて便潜血陽性の場合は大腸カメラを受けるのが重要です。 40代後半からは便潜血検査が陰性でも3年から5年に一度大腸カメラを受けることをおすすめします。

女性のがんは特徴の一つとして発症年齢が若いということが挙げられます。
子宮頸がんの発症は30代、乳がんは40から50代にピークを迎えます。
人間ドックに子宮頸がんや乳がん検査のオプションがあったら該当する年齢の方はぜひお受けになってください。

人間ドックを受けるときの選択のポイントは年齢や性別によって含まれる検査項目やオプション内容をご自分に合ったものにすることに尽きます。

教えてドックが紹介する人間ドックとは

すべての人間ドックに特定健診は含まれますが、がん検診の内容には差があります。
現在のがん検診はがんの早期診断のみならずがん発症の予防につながるものでとても重要な存在です。
したがってがん検診が充実していることが大切です。

以下は人間ドックを提供している医療機関のタイプ別の特徴です。

  • ①健診専門医療機関

    健保組合や自治体の検診を主に行っている施設です。胃がん検診は胃透視(バリウム)が主流です。

  • ②総合病院や開業医

    施設によりますが、胃がん検診が胃カメラ、バリウムを選べる傾向があります。

  • ③画像診断専門施設

    MRI、CT、PETを専門にしていて、胃がん検診は胃カメラもバリウムを行わない場合があります。

日本人は肺がん、大腸がん、胃がん、膵がん、肝臓がんでなくなっています。

肺がんは、最大の発症原因は喫煙です。40代以降でブリンクマン係数(喫煙年数×喫煙本数)が400を超えている方は1から2年ごとに低線量胸部CTを受けることで、早期での診断が期待できます。

胃がんと大腸がんは早期診断はもちろん、さらに予防ができる時代になってきました。

胃がんの診断は胃カメラがバリウムに比べて格段に優れています。40歳から始まる健保組合や自治体のがん検診で、これまではバリウムの胃透視検査が主流でしたが胃カメラを選択するチャンスが増えてきています。早期胃がんの診断の確率はこれにより増加してゆくでしょう。 ヘリコバクターピロリの除菌による胃がん予防効果は以下のようになります。

  • 30代まで…99%
  • 40代…95%
  • 50代…90%
  • 60代…80%

ピロリ菌の除菌で胃がんは防げるのです。

女性が一番多く命を落としている大腸がんは、実はほとんどが予防できるのです。
大腸ポリープは40代から発生してきます。40代から始まるがん検診をしっかり受けて便潜血陽性の場合は大腸カメラを受けるのが重要です。 40代後半からは便潜血検査が陰性でも3年から5年に一度大腸カメラを受けることをおすすめします。

以上のことから教えてドックがおすすめする人間ドックは以下の条件を満たしている施設です。

  • 検査項目が十分にある
  • 健診費用や検査項目が適切
  • 健診に付随して過剰な検査や診療に誘導していない
  • 胃がん検診で胃カメラを選択できる
  • ヘリコバクターピロリ検査を積極的に行っている
  • 検査結果を分かりやすく説明し、適切な指示をしている

レディースドックや胸部CT、PET、MRIによる脳ドックなどもオプションで選べれば年代によってはより有用となります。

教えてドック監修

私は消化器外科医でしたが、15年前に開業し、人間ドック専門のクリニックに従事していきました。
日本人は胃がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん、すい臓がんでなくなる方が半数以上です。これらは消化器外科医の診療の対象となります。

私は外科医でしたので、がんを発症してしまった患者さんばかり診て来ました。
進行した場合の手術の難しさ、抗がん剤の副作用のつらさ、手術不能の進行がんなど、がんが進行した場合の困難にいやというほど直面してきました。がんですから、多くの死に向き合ってきました。

そこでいつも思うのは、もう少し早く診断できていれば、あるいはもう少し早くがん検診を受けていればという事でした。
がん診療の現場にいると、つくづく定期的ながん検診の重要性を思い知らされていたわけです。
従って、開業してからは人間ドックでの早期診断と予防に力を入れてきたのです。

医学の進歩は目覚ましいものです、私が開業する前に外科医をしていたころは大分今とは状況が違いました。
以下に列挙したいと思います。

  • 胃がんの原因がヘリコバクターピロリで除菌すると胃がん発症を予防できると分かった
  • 大腸カメラが普及しポリープを切除し大腸がんを予防できるようになった
  • 肝炎ウィルスの治療が進化し肝がん発症が減った
  • 乳がんの手術で温存術が増え乳房を切断しなくてよくなった
  • すい臓がんの治療で延命ができるようになった
  • 肺がんと喫煙の因果関係がはっきりし、禁煙によって肺がん発症予防ができることが分かった

日本人の死因の第一位はがんで3割の方ががんで命を失っています。
しかし、上記のように日本人のメジャーながんは予防も早期診断もでき、多くの方は本来死ななくてもよかったのです。

勇んで開業はしましたが、40代50代でもがん検診の受診率は4割で、60代以上はどんどん受診率が下がってしまうということがわかり愕然としました。

「医学の進歩をできるだけ多くの方に享受していただきたい」

受診率を高め、健診結果を正しく理解して実践していただく事が重要です。
その実現のために、私たち医療者が適切な情報提供をしつつ、良質な人間ドック、健康診断を選ぶお手伝いをしたいと思います。