乳がん・子宮がんの早期発見につながるレディースドック
女性特有のがんに乳がんと子宮がん、卵巣がんがあります。
女性のがんの特徴は胃がん、大腸がん、肺がんなどのメジャーながんに比べて発症年齢が低い事です。
子宮頸がんは30から40代、乳がんは40代から50代が好発年齢です。
卵巣がんは30代から徐々に増えてきます。
レディースドックはこれらのがんの診断が主な目的ですが、それ以外の疾患も見つかります。
子宮頸がんは異形成という前がん状態で診断でき、フォローすることでほとんどの場合早期で診断することができます。
罹患率の高い女性特有のがん
女性に特有のがんは乳がん、子宮がん、卵巣がんです。
以下に一生の間に罹る頻度を示します。
乳がんの発症が多いのが目立ちますね。
部位 | 生涯がん罹患リスク(%) | 何人に1人か | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
乳房(女性) | – | 9% | – | 11人 |
子宮 | – | 3% | – | 33人 |
子宮頸部 | – | 1% | – | 78人 |
子宮体部 | – | 2% | – | 61人 |
卵巣 | – | 1% | – | 82人 |
レディースドックで見つかる病気
乳がん検診
マンモグラフィー
40歳になると自治体から2年に一度受けるお誘いが来ます。基本的に無料か安い費用で受けることができます。
乳がんは30代から発症しますが、40歳を超えると発症が急増します。マンモグラフィーは乳がんを早期で診断できる検査です。乳腺超音波
これは自治体の無料検診には含まれません。
自費になりますが、30代後半から乳がんは増えますので、30代から継続して受けることをおすすめします。乳房MRI(造影)
これも自治体の健診には含まれません。
乳がんの診断能は高いのですが、高額で造影剤も使うため、リスクの高い方の補助的な検査といえます。乳がん検診なので乳がんの診断が目的ですが、それ以外の疾患も見つかります。
乳がん検診なので乳がんの診断が目的ですが、それ以外の疾患も見つかります。
乳腺症
30-40歳代の女性に多い良性の変化です。主な症状としては、硬結(固くなること)、疼痛(乳房の痛み)、異常乳頭分泌があげられます。授乳期に乳腺炎になったり授乳しなかった方に多く見られます。乳腺炎からがんになることはありません。
性周期に伴う女性ホルモンの影響で乳腺が刺激され、炎症を起こしたりのう胞を作り、硬結や乳頭からの分泌物が増えたりします。乳腺炎とがんの区別が付きにくいことがあるので、乳腺炎と診断されたら定期的に診察を受けることです。
乳腺線維腺腫
乳腺線維腺腫とは乳房の良性の腫瘍です。10歳代後半から40歳代の人に多くみられます。ゆっくりと発育して30歳代以降、増大傾向は停止します。ころころとしたしこりになり、触ってみるとよく動きます。
原則的には特別な治療を必要としません。乳がんと区別が付きにくいことがあり鑑別診断を要することがあります。
葉状腫瘍
検査では線維腺腫に似ています。急速に大きくなるものがあることが特徴です。ほとんどの葉状腫瘍は良性ですが、なかには良性と悪性の中間の境界型や、非常に稀ですが転移を起こしやすい悪性のものもあります。
治療の原則は手術による腫瘍の完全切除です。
子宮がん検診(頸がん、体がん)
がん以外に以下の疾患が診断されることがあります。
子宮筋腫
子宮の筋肉から発生する良性の腫瘍です。3人から2人に見られるポピュラーな腫瘍です。
原則的に治療は要しませんが、貧血が重くなったり、妊娠の障害になる場合には切除することもあります。
卵巣嚢腫
卵巣にできるのう胞です。症状はないことが多いですが、卵管や血管がねじれて茎捻転となって手術を要することもあります。
子宮内膜症
子宮内膜が子宮以外の場所で増殖し月経時に出血を起こします。月経痛が重くなったり、月経以外の時にも腹痛が発症します。
炎症を起こすために癒着するため妊娠の妨げになることがあります。
部位や症状によってはホルモン療法や手術などの治療をします。
レディースドックの費用相場は?
レディースドックは以下の検査を単独か組み合わせで受けるものです。
マンモグラフィー | 5,000円~15,000円 |
---|---|
乳腺超音波 | 5,000円~10,000円 |
乳房MRI(造影) | 40,000円~70,000円 |
子宮頸がん検診 | 5,000円~10,000円 |
子宮体癌検診 | 5,000円~10,000円 |
経腟超音波検査 | 5,000円~10,000円 |
レディースドックの主な検査項目
検査項目 | 検査内容 |
---|---|
マンモグラフィー | 乳がんの検査で機械で乳房を挟んでレントゲンで乳腺中の腫瘍を診断します。40歳前後からが適切な受診時期です。早期乳がんを診断することができます。 |
乳腺超音波 | 乳がんは30代から発症します。公的なサポートはないので自費で乳腺外科で乳腺超音波検査を受けるのが望ましいといえます。30代では乳腺が発達しているのでマンモグラフィーはあまり適しません。 |
乳房MRI(造影) | 造影剤を使うMRIでの検査です。乳がんの診断というよりは診断後に乳がんの広がりや転移の有無を探るのが目的です。 |
子宮頸がん検診 | 二十歳になれば定期的に自治体で受けることができます。20代から30代以降が発症のピークとなるからです。受診率は3割ほどと低く問題となっています。 |
子宮体癌検診 | 子宮体癌は50代からリスクが高まります。40代後半から受けるのが望ましいですが、公的にサポートされないこともあるので婦人科で自費で受けることが必要になります。 |
経腟超音波検査 | 膣、子宮、卵巣の状態がわかります。がん以外に卵巣嚢腫や子宮筋腫などの診断にも有用です。ただ超音波だけではがんの診断は十分ではありません。子宮がん検診に追加で受ける検査です。 |
見落としを防ぐために併用しておきたい検査
マンモグラフィー
40歳からがん検診の一つにマンモグラフィーが加わります。40歳から乳がんの発症は急増しますから重要な検査です。
30代でも乳がんは発症しますが、乳腺の密度が高くマンモグラフィーで乳がんの特徴となる石灰化の部分が見えにくいため、マンモグラフィーではなく超音波検査が適しているといわれています。
乳房を器具で挟み左右の乳房ごとにレントゲンを照射して画像を作ります。圧迫するので乳房の大きさによっては痛みを伴います。
豊胸術を行っているとマンモグラフィーを受けることができないこともあります。
がんの部分にはカルシウムの沈着により石灰化が生じやすいためその部分がレントゲンに反応します。石灰化のパターンを専門医が判定をします。がんを疑われた場合は、生検検査で石灰化の部分の細胞を採取し顕微鏡で観察・診断をします。
1000人がマンモグラフィー検診を受けると、そのうちの50人から100人ほどが精密検査を行い、乳がんと診断されるのは3人程度です。近年、3Dマンモグラフィーという改良型が普及しつつあり、より診断能が上がっています。
乳腺超音波
乳腺の発達した30代女性には適しています。マンモグラフィーより診断しやすくなります。 豊胸術後の方にも適しています。
乳腺MRI
MRIで乳房を検査します。うつ伏せの状態で造影剤を投与して検査をします。挟むことがないため痛みがありません。
高濃度乳腺でも診断しやすいと言われています。
欠点としては、費用が高いこと(3万から6万円)、造影剤が必要なこと、がんでない場合も異常所見としてしまいやすいことなどがあります。
以上より乳がんを診断するための検診には適しませんが、ハイリスクの30代や豊胸術後の方には
左はマンモグラフィーの画像です。病変は特定されていません。
右は同部位のMRIの画像です。白くはっきりがんの部分が映っています。
レディースドックの対象となる疾患
女性特有のがんについて
女性の特有のがんで発症が多いのは乳がんが1位、子宮がんが5位です。
がん罹患数予測(2018年)
女 性 | |
---|---|
部位 | 罹患数 |
全がん | 438,700 |
乳房 | 86,500 |
大腸 | 64,900 |
胃 | 40,900 |
肺 | 40,600 |
子宮 | 27,500 |
ここで問題は乳がん子宮がんともにがん検診受診率が低いことです。部位的にあまり人に見せたくないという心理が働くことも一因です。最近では、女性の医師が担当する施設が増えてきています。
乳がんは他のがんに比べて生存率が高いため発病は1位ですが、死亡数は5位となっています。大腸がんの死亡数が多いのが目立ちます。
がん死亡数予測(2018年)
女 性 | |
---|---|
部位 | 死亡数 |
全がん | 157,000 |
大腸 | 24,800 |
肺 | 22,400 |
膵臓 | 17,300 |
胃 | 15,800 |
乳房 | 14,800 |
乳がん
乳がんの発症は増加しており、11人に一人に発症しています。
年間約9万人に発症し1万5千人弱が亡くなっています。
日本女性における乳がんの年齢調整罹患率・死亡率の推移
2014年の罹患数(全国合計値)が多い部位は順に
1位 | 乳房 |
---|---|
2位 | 大腸 |
3位 | 胃 |
4位 | 肺 |
5位 | 子宮 |
乳がんの発症は増加の一途です。
2017年の死亡数が多い部位は順に
1位 | 大腸 |
---|---|
2位 | 肺 |
3位 | 膵臓 |
4位 | 胃 |
5位 | 乳房 |
元データ:人口動態統計によるがん死亡データ(エクセルのnumberシートを参照)
14,800名の女性が乳がんで命を落としています。
乳がんによる死亡数は増加傾向で、発症の増加に伴っています。
女性の乳がんの死亡数
がん検診受診率の国際比較<乳がん>
日本のがん検診受診率は、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国の70-80%に対し、44.9%と極めて低い
乳がん発症リスク因子
以下に該当する方は、検診の必要性が高いといえます。
- 肥満
- アルコール摂取
- 早い初潮
- 妊娠回数が少ない
- 閉経が遅い
- 初産年齢が遅い
- 授乳歴がない
- 家系内に複数の乳がん
- 近親者に乳がんや卵巣がんの家族歴
20歳台でも乳がんにかかることがあります。日本ではマンモグラフィ検査による乳がん検診は放射線被ばくの議論もあり40歳以上に推奨されているため、それより若年層では乳がんの早期発見が難しく、病状が進んだ状態で診断されることが多くなっています。早期発見のためには、30歳台後半から超音波検査による検診や、視触診による自己検診を習慣づけるなどの注意が必要です。
子宮頚がん
一生の間に100人に一人の女性が子宮がんを発症します。
日本では、毎年約15,000人の女性が子宮頸がんにかかり、約3,500人が命を落としています。
膣鏡で観察するだけで異常が分かり細胞を採取することもでき、検診で診断が容易ながんです。子宮頸がんは早期のうちはほとんど無症状で、進行するにつれて月経以外の出血(不正出血)や性交時の出血、おりものの変化、腰痛、腹痛などが現れるようになります。
羞恥心から3割台と受診率が低いのが問題となっています。
子宮頸部の細胞に異常が生じ、数年から数十年かけて子宮頸がんになることがあります。
発症原因
HPV(ヒトパピローマウィルス)の持続感染によって発症します。
HPVウィルスには100種類以上ありますが、頸がんの原因になるのはそのうちの13種類です。これをハイリスクHPVと呼びます。
HPVは性交渉により男性から感染します。8割の女性が感染しますが、2年以内に90%はHPVは消失します。消失せず持続感染をすると頸癌が発症するということが分かっています。
初交年齢が若年化しており高校3年生までに4割異以上が経験しています。リスクは高校生から始まっているわけです。
対策として中学~高校1年生までにHPVワクチンを接種が無料で受けられる体制がありますが、副反応が問題になってからは7-%だった接種率は1%まで下がってしまいました。HPVワクチンは感染する前に接種する必要がありますので、頸がん予防の観点からは大変困った状況になりました。
世界でも例を見ないワクチン接種率の低さという現状ではやはり検診を受ける事が重要となるわけです。
子宮頸がんの最も大きい特徴は発症が20代30代と若いことです。死亡の多くは高齢者ですが、若くても死亡例がありますし、若くして子宮を失う大きな原因となるのが問題です。
若い女性の子宮頸がん発症が急増しています。パピローマウィルスの感染が若年化しているのが翁原因です。
HPVの持続感染により異型度が上がってゆきます。段階検診を受けていれば前がん状態の段階で診断でき、早期に治療を開始できます。
子宮頸がん検診の内容
頸がん検診には、頸部細胞診・内診が含まれます。
自費で数千円の費用でできます。経膣エコーやHPVの有無を追加することもあります。
自治体や健保組合での頸がん検診では頸部細胞診・内診が中心です。
受診率が4割前後で低いのが問題です。
細胞診
膣を膣鏡で広げ子宮頸部の細胞を採取し顕微鏡で観察する検査です。
以下の分類に従って、軽度から中程度の異型の場合は、1年ごとのフォローを要します。
高度異型や上皮内癌がある場合は円錐切除や子宮摘出術をすることになります。
細胞診の分類
- NILM(クラスⅠ・Ⅱ)=正常な細胞のみ
- ASC-US(クラスⅡ・Ⅲa)=異形成と言い切れないけれど細胞に変化がある
- ASC-H(クラスⅢa・Ⅲb)=高度な細胞異型の可能性がある
- LSIL(クラスⅢa)=HPV感染や軽度異形成と考えられる
- HSIL(クラスⅢa・Ⅲb・Ⅳ)=中等度異形成・高度異形成・上皮内癌と考えられる
- SCC(クラスⅣ・Ⅴ)=明らかな扁平上皮がんと考えられる
細胞診の結果による対応
- NILM→定期検診を続ける
- ASC-US→HPV検査をして「陰性」なら1年後細胞診、「陽性」ならコルポ診、生検
- ASC-H・LSIL→コルポ診、生検
- HSIL→コルポ診、生検
- SCC→コルポ診、生検
コルポ診というのはコルポスコピーという内視鏡で頸部を拡大して観察しより詳細な情報を得るものです。
子宮頸がんの治療
高度異型や早期の子宮頸がんでは以下の円錐切除を行います。
円錐切除
頸がんが進行し子宮側に広がると子宮をはじめとして、リンパ節、卵巣も摘出する事になります。
子宮切除術
リスク因子
以下の条件を有すると発症リスクが高まります。
- 妊娠、出産回数が多い
- 低所得者
- 喫煙
- 早婚
- 性交渉開始年齢が若い
- 性交渉相手が多い
- ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染している
頸がん検診の重要性
以下のグラフで分かるように、先進国で子宮頸がんの死亡率が下がっていないのは日本だけです。
この原因は頸がん検診の受診率の低さにあります。
一次高校生までのワクチン接種が70%までに達しましたが現在は1%ですから、今後の予防は期待できなくなりました。
検診によって頸がんの発症は予防でき、早期での診断が容易ですから、ワクチンを受けない状況では検診が最後の砦ということになります。
若い女性を襲う子宮頸がん。
30代が好発年齢ですから、一番妊娠する可能性の高い年代です。
高度異型やがんになってから円錐切除をすれば早産のリスクが高まります。
進行して浸潤がんとなって子宮を切除すれば妊娠をあきらめることになります。
他の国の子宮頸がん死亡率は下がってきているのに対し、日本では死亡率の変化はありません。欧米での子宮頸がん検診受診率が7、8割なのに対して日本のそれが3割台なのが原因として考えられます。
子宮体がん
子宮体癌は、頸がんと比較して高齢の50から60代で発症します。女性の100人に一人が発症します。
女性ホルモンのエストロゲンが過剰に働き子宮内膜が異常な増殖をして発症します。
リスクの高い方
- 閉経前後
- 月経不順・排卵障害がある(あった)
- 妊娠・分娩の経験が少ない
- 肥満(高血圧、糖尿病)
- 更年期障害の治療にエストロゲンを単独使用している(していた)
- 乳がんの手術後にホルモン剤を服用している(していた)
予防方法
- 禁煙
- 飲酒の制限
- バランスの良い食事
- 運動
検診方法
- 1.子宮内膜細胞診・・・子宮の奥まで器具を挿入してこすって内膜の細胞を採取します。
- 2.組織診・・・細胞診で疑わしい場合は採取器具で組織を切り取り検査します。
子宮体癌健診の費用
5千円前後です。
超音波検査を併用するのも有用です。その場合も5千円程です。
子宮体がんは、病状が進行していない早期の段階で出血することが多く、不正性器出血での発見が約90%といわれています。このため症状が出たらすぐに検査を行うことで早期発見が可能となります。
卵巣がん
卵巣がんは女性の約二百人に一人が発症しています。30代から徐々に増え、50代からは10万人に20から30人の発症率で推移します。年間5千人弱が亡くなっています。
卵巣がんは科学的に有用であるとの根拠のある検診はありません。
急激な腹部の張りや痛みがあったら早く婦人科を受診するしかありません。
しかし、子宮がんでの検診の際にオプションで経腟超音波検査を受けると卵巣の変化を診断できることがあります。
また、腫瘍マーカーのCA125が上昇することがあります。ドックで腫瘍マーカーのオプションを選択すると、女性ではCA125が含まれていることが多いので、上昇して場合に診断されることがあります。卵巣がんの約25%が子宮内膜細胞診で陽性になることが報告されていますので、リスクの高い方は子宮体がん検診を受けるといいでしょう。
卵巣がんになりやすい方 ー リスクの高い方
- 未婚
- 未妊
- 未産
- 初潮が早い
- 閉経が遅い
- 卵巣がんの家族歴
- 肥満
- 糖尿病
- 子宮内膜症、多のう胞性卵巣症候群
- 運動不足
- 喫煙
- 乳がん・大腸がんの家族歴や既往症
レディースドックを受けるべき人・受けなくてもいい人はこう分かれる!
レディースドックを受けるべき人
レディースドックは乳がん検診と子宮がん検診を同時に受けるものです。
基本的に20代からの子宮頸がん検診、40代からの乳がん検診、50代のから子宮体がん検診はすべての方が受けなければいけないでしょう。
基本の検査は自治体で無料か安い費用で受けられます。
乳腺超音波検査や経腟超音波検査は、
子宮頸がんはパピローマウィルスの感染が主です。
頸がん、体がんや卵巣がんのリスク因子は重なる部分も多いので以下に該当項目の多い方は定期的に受ける必要性があります。
- 肥満
- アルコール摂取
- 早い初潮
- 妊娠回数が少ない
- 閉経が遅い
- 初産年齢が遅い
- 授乳歴がない
- 家系内に複数の乳がん
- 近親者に乳がんや卵巣がんの家族歴
レディースドックを受けなくてもいい人
20代では子宮体がん、乳がん検診は通常は必要ありません。
30代、40代での子宮体がんの検診は必要ありません。
反対に50代からは頸がん、体がん、乳がんすべてを受けることが必要です。
自分の年齢を目安に検査を選び、リスクの高い病気を早期に発見しよう
20代の女性
20歳から自治体で始まる子宮頸がん検診を2年に一度受けましょう。20代でも異型細胞が検出されることはあり、フォローしてゆけばがんになる前に処置することができます。
高校1年生までのHPVワクチン接種が1%となってしまった以上、若い女性の子宮を守る手段は検診のみとなってしまいました。
若いうちに命や子宮を失うことの無いように頸がん検診を受けましょう。
乳がん検診はまだ必要ありません。
30代の女性
子宮頸がん発症のピークを迎えますので、是非自治体での子宮頸がん検診を受けましょう。
また、30代後半からは乳がんの発症が高まるので、自費に名なりますが30代後半からは超音波での乳がん検診をおすすめします。
40代の女性
40歳からマンモグラフィーによる乳がん検診が始まります。自治体で原則的に無料化わずかな費用で受けられます。超音波の検査は慈悲になりますが、リスク因子の多い方はお受けいただきたいと思います。
子宮頸がんの発症は、ピークは過ぎますが検診を受けましょう。
40代から胃がん、大腸がんの発症が始まりますので、がん検診で胃透視検か胃カメラ、便潜血検査を受けましょう。
また40歳からABC検査などでのヘリコバクターピロリ菌の検査が健診と同時に行われることが一般的になってきました。40代でヘリコバクターピロリん有無を調べ、陽性の場合に除菌すれば胃がんの発症は9割以上抑制できます。
50代の女性
乳がんのピークが50代以降も続きますのでマンモグラフィーを受けましょう。
子宮頸がん検診以外に、50代から増えてくる体がんの検診も受けたいものです。
最後に
この20年で女性の健康に関わる環境は大分変わってきました。
脂質の多い食事、肥満の増加、初交年齢の若年化、HPVワクチン接種率低下、初潮の若年齢化、閉経の高齢化、出産高齢化、未婚率の上昇、少子化。これらは女性特有のがんの発症を促します。
しかし、一方では乳がん子宮がんともに検診受診率は低いままです。
女性の命と乳房と子宮を守る手段は乳がん検診と子宮がん検診の定期的な受診であることを再確認しましょう。