大腸がん検査

大腸がんを早期発見する大腸がん検査

日本人の命を奪っている原因の一位であるがんは、すべて進行して来ないと症状は感じられません。
大腸がんは、進行すると肛門からの出血や腸閉塞を引き起こして初めて気づきますが、早期がんのうちは何も症状はありません。

進行がんとなってリンパ節、肝臓、肺などに転移をすると治癒は困難となります。
早期がんの5年生存率は9割を超えますから、検診を受けていれば怖いがんではありません。

大腸がんの検診は便潜血検査です。
がん検診の中では最も簡単で苦痛の少ないものといえます。

部位 生涯がん罹患リスク(%) 何人に1人か
男性 女性 男性 女性
11% 5% 9人 19人
結腸 6% 5% 17人 18人
直腸 4% 2% 28人 48人
大腸 9% 8% 11人 13人

男女合わせると最も罹患率が高いのが大腸がんです

2014年の罹患数(全国合計値)が多い部位

1位 2位 3位 4位 5位
男性 大腸 前立腺 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位
女性 乳房 大腸 子宮 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸7位
男女計 大腸 乳房 前立腺 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位

死亡数は男性で3位、女性で1位です。
今後喫煙率の低下により肺がんは減少しますので大腸がんが1位になる日は遠くありません。

2017年の死亡数が多い部位

1位 2位 3位 4位 5位
男性 大腸 肝臓 膵臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸9位
男女計 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸7位

大腸がんで亡くなる人は男性約27,000人、女性約23,000人程です。

大腸がんの罹患率は年齢とともに上昇します。
大腸がんも他のがんと同様に遺伝子の傷の蓄積で発症します。
加齢や生活習慣、遺伝的素質が原因です。
発症のしやすさには個人差があり誰にでも40歳前後から発症の可能性はあります。

なぜ日本人の大腸がんは増えているのでしょうか

以下の大腸がんの原因となる因子が増えているために大腸がんの罹患率が上昇しているのです。

  • 高齢化
  • 生活習慣・・・運動不足
  • 食事・・・豚、牛、羊の赤身肉、野菜・果物の摂取不足
  • 飲酒

このように増えているがんであるにもかかわらず、大腸がんの検診受診率は4割台とまだまだ低い状態です。

早期発見をすれば、100%近くの完治が可能

大腸がんや胃がんでの早期がんというのはがんが粘膜下層までにとどまった段階のものです。がんは内側の粘膜で発生し腸の外壁に向かって浸潤進行して行くのです。
早い段階で診断できれば大腸カメラで切除でき、開腹手術を要しません。

大腸カメラでポリープが見つかると切除することが多いのですが、ポリープの表面にがんがあってポリープの切除でがんも一緒に取れてしまうということも多く遭遇します。

早期がんであれば9割を超える5年生存率が期待されます。
大腸がん検診を受けていれば早期がんで診断できる確率は格段に高まります。

大腸がんは他のがんと同様に遺伝子の傷が蓄積して発病します。
いきなり発生するがんもありますが、数%と言われています。
ほとんどはポリープの形態を取ってからがんに進展してゆきます。

大腸がん検査の費用相場は?

男性の12人に一人、女性の15人に一人が大腸がんを発症しています。
女性ではがん死のトップは大腸がんです。

大腸カメラは大腸がんの診断はもちろん前がん状態であるポリープの診断に威力を発揮します。
大腸がんの検診は検便による便潜血検査ですが、この検査で陽性になった方には大腸カメラの指示が出ます。
便潜血陽性者の数割に大腸ポリープが見られます。
ポリープがあった場合は、小さいもの以外は切除されます。
この切除で大腸がんの9割が予防されます。
大腸がんの9割以上が大腸ポリープから発症するからです。

人間ドックでオプションで受けると1から2万円代の費用が掛かりますが、便潜血で陽性の場合は保険診療で5千円ほどでお得に受けることができるのです。

大腸がんは40代から発症し始め、60歳から発症頻度が高くなってゆきます。
40歳を超えて便潜血で陽性だったら必ず大腸カメラを受けましょう。

大腸にポリープがあっても便潜血で陽性になるのは数割です。
便潜血陽性の場合はもちろん、40代に一度は自費で大腸カメラを受けることは大変有効です。

大腸がん検査の方法

大腸がんの公的または一般的な検診は二つあります。

  • 便潜血検査

    便に微量の血液が含まれているかを検出します。
    ポリープやがんがあると陽性になることが多いですが、ポリープを5割、がんを数%診断できます。
    費用は40歳からの自治体の健診では無料ですが、自費で受けると1,000円から2,000円罹ります。

  • 大腸カメラ(大腸内視鏡)

    大腸がんは男女合わせると発症が最も多いがんですから、がんの診断率の低い便潜血ではなく最初から大腸カメラを希望される方も増えてきました。ただ、自費で受ける場合は2万から3万円の費用が掛かります。
    また、腸を完全にきれいにしないと検査ができないので、1から2リッターの下剤を飲まなくてはならないので、それが苦痛であるという短所があります。

便潜血検査

便潜血検査で陽性になった場合に、1から2%で大腸がんが見つかります。また半数で大腸ポリープが見つかります。
ポリープやがんがあっても必ず便潜血が陽性になるわけではありません。
しかし、1,2年に一度がん検診で便潜血検査を受けていれば検出率は高まります。

腸内視鏡検査

便潜血検査で陽性になると大腸内視鏡(大腸カメラ)を受けるように指示が出ます。
ここで問題は、4割ほどの方が受けないで放置していることです。
大腸カメラを受けた方の多く1から2リットルの下剤の服用がつらいとおっしゃいます。そのため胃カメラよりハードルが高い検査になっています。

大腸カメラでまず重要なのは、ポリープを検出して切除し大腸がんの発症を予防することですから、便潜血で陽性の場合は是非大腸カメラをお受けいただきたいと思います。

大腸3D-CT

まだ一般的ではありませんが、一部の施設で行っています。
腸を洗浄後、炭酸ガスで大腸を膨らませて内壁を観察します。
洗浄のための下剤が少なくて済むのはメリットです。注入した炭酸ガスは速やかに吸収されますのでおなかの張りはすぐに取れてしまいます。


  • 大腸カメラでのポリープの画像です

  • 3DーCTの画像です

ポリープは3mm程の小さいものですがCTでも描出できています。

各大腸がん検査の違い

便潜血検査 大腸内視鏡検査 大腸3D-CT
検査方法 大便の表面を専用の器具でこすって採取し、免疫反応で微量の血液を検出します。 検査前日あるいは当日に下剤を服用し腸を洗浄する 1.検査前日に下剤と経口造影剤を服用する
2.炭酸ガスで腸を充満させる
3.CTで仰向けとうつ伏せの2体位で撮影する
4.CT画像を解析してバーチャルカメなどの画像を作成し診断する
見つけられる病気 大腸がん・大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎・クローン病・虚血性大腸炎 大腸がん・大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎・クローン病・虚血性大腸炎 大腸がん・大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎
メリット 〇便を採取するだけで苦痛はない
〇低費用
〇大腸ポリープは5割ほど、大腸がんは1から3%を診断
〇ポリープも大腸がんもほぼ見落とし無く診断できる
〇ポリープがあった場合は同時に切除できるので検査と治療が一度でできる
〇ポリープは大きくなると表面にがんが発生するのでポリープ切除と同時にがんの治療をしたことになる
〇大腸内視鏡ほどの強い下剤は使わないので苦痛が少ない
〇比較的小さいポリープも検出できる
デメリット ×痔などで出血しても反応するので腸に病気がなくても反応すること ×下剤を服用する際に飲みにくさがある ×ポリープや腫瘍があった場合は、内視鏡で再度確認し治療することになる
×わずかながらCTによる被曝がある
がん発見の精度 1%から3% 早期がんも含めて9割以上
ポリープも早期大腸がんも見落としはほとんどない
ポリープで6-9mm 8から9割、10mm以上で9割以上を検出可能。
大腸がんの9割はポリープに発生するので早期大腸がんの診断は9割前後。

大腸がん検査はどんな人が受けるべき?

受けるべき人

血縁者に大腸がんの発症者がいると発症の可能性は2から3倍になると言われています。
40歳くらいから発症しますので40歳になったら2年に一度のがん検診で便潜血検査うを受けることが重要です。

高齢者ほど発病は上昇しますので、60歳以上も受けることが必要です。
また、発病しやすい生活習慣の方は確実に受けることです。

  • 飲酒量の多い方
  • ソーセージやハムなどの加工肉をよく食べる方
  • 内臓脂肪が多い方
  • 肥満のある方
  • 運動不足
  • 野菜・果物などの食物繊維を摂取が少ない方

受けなくてもいい人

40歳以下の方は前がん状態であるポリープや大腸がんの発症は少ないので受ける必要性は低いといえます。

大腸がんのまとめ

大腸がんはがん検診で早期で診断されやすいがんです。
便潜血陽性で大腸カメラを受け、ポリープが見つかって切除することで9割以上の大腸がんの発病を予防できます。
大腸がん検診が、早期診断と有効な予防につながるということになります。

問題は、40歳以上の大腸がん発症の可能性の高い世代が4割しか大腸がん検診を受けていないこと、便潜血で陽性になって大腸カメラの指示が出ても4割の方が受けないことです。

早期大腸がんで診断できれば多くの場合は開腹せずカメラで切除できます。
ポリープがあったら切除することで大腸がんは9割以上の確率で予防できるのです。

40歳になったら2年に一度の便潜血検査を受けること、便潜血検査が陽性であれば大腸カメラを受けることを忘れないようにしたいものです。