人間ドックでもっとも気になるのが高額な受診費用
人間ドックは特定健診とがん検診を同時に行うものです。
特定健診とがん検診は自治体や健保組合でほぼ無料で受けることができますが、予約を取るのが煩雑だったり日数が掛かるのがネックです。
人間ドックは予約が取りやすく一日で終了することが特徴です。
しかし、3から6万円と自己負担の費用が高額なことがハードルになります。
医師の判断で保険が適用されるケースも
これはありえないです。
保険診療は基本的に症状があってそれに合った検査をしたり治療を目的とします。
したがって、人間ドックが健康保険から費用負担を受けることはありません。
クーポンサイトから申し込むと割引されるケースも
クーポンサイトに登録して、割引を行っている医療機関はありますがまだ多くはありません。
多くはありませんが、自治体でクーポンの形で人間ドックを助成している場合があります。
費用の安さだけでの人間ドック選びはナンセンス
人間ドックは特定健診とがん検診を同時に行うものですが、やはり自己負担で高額ですので検査項目は十分にあってより詳細に検査したいものですね。
検査項目は通常検査費用に比例します。
人間ドックの検査項目に基準はないので施設によってバラバラです。中には無料で受けられる自治体の検査項目数以下の場合もあるのです。
特定健診については差はありませんが、がん検診は施設差があります。
がん検診について受けた方が望ましいのは以下です。
腹部超音波検査
肝臓、腎臓、脾臓、胆のう、すい臓の一部、腹部大動脈、前立腺を調べます。
肝炎、脂肪肝、胆石、腎結石などをはじめとして、肝がん、胆のうがん、腎がんの診断に有用です。
胃カメラ
声帯、咽頭、食道、胃、十二指腸を調べます。
バリウムによる胃透視検査では早期胃がんの診断は困難です。
また、バリウムでは食道は情報が少なく、多く見られる逆流性食道炎の診断はできません。
オプションがあったら、
大腸カメラ
大腸がんの発症率は男女ともに第二位です。女性のがん死の臓器別では第一位は大腸がんです。
大腸がんの発症も死亡も多いことが分かります。
しかし、大腸がんの9割以上は予防できることをご存知でしょうか。
一般的に大腸がんの検診は便潜血検査です。
これにより大腸ポリープや大腸がん、大腸炎、潰瘍性大腸炎などの疾患が診断できます。
大腸ポリープが発見されて定期的にポリープを切除することで大腸がんの9割以上は発病を予防できるのです。
大腸ポリープがあると便潜血検査で陽性になりますが、ポリープがあっても陽性になるのは1割から5割とばらつきがあり、検出率は高いと言えません。
便潜血検査が陽性の場合は、大腸カメラを受ける指示が出ます。
大腸カメラでは早期がん、進行がん、ポリープを見逃す可能性はほぼ0です。
40歳を超えるとポリープや大腸がんが発症し始めますから、便潜血検査で陽性であれば必ず大腸カメラを受けることが重要なポイントとなります。残念なことにその指示が出て実際に受ける方は5割ほどにとどまります。
便潜血検査が陽性になった場合は、ぜひ大腸カメラ検査を受けましょう。
また、便潜血検査が陽性でなくても40代で一度は大腸カメラを受けるのが望ましいと言えます。
低線量胸部CT
がん死の第一位は肺がんでこの傾向はしばらく続くと見られています。
肺がんは診断、治療ともに困難です。
胸部CTによる肺がんの診断能力は胸部レントゲン検査の10倍になります。
ブリンクマン係数(一日喫煙本数×喫煙年数)が400を超えていたら肺がんの発症率は高まります。
該当する方は胸部CTを定期的に受けるのが望ましいでしょう。
脳ドック
MRIによって頚動脈や脳の血管、脳実質の観察ができる検査です。
頸動脈の動脈硬化の程度は全身の血管の状態を反映しますし、くも膜下出血の原因となる脳血管動脈瘤が診断できます。
診断がつけば治療によって致死率の高いくも膜下出血を予防できるのです。
自分にあった人間ドックを選ぶのが最も重要!
特定健診は年に一回が原則です。がん検診は2年に一度が一般的です。
人間ドックはがん検診を含みますので、通常は2年に一度の受診となります。
20代・30代
がんの発症はおおむね少ないですが、女性の子宮頸がんの発症はピークとなりますので2年に一度の自治体での子宮頸がん検診は受けるべきでしょう。
残念ながら受診率は3から4割と低い水準で推移しています。
一方、男性はメタボリックシンドロームの兆候が出始める時期です。
外食の機会が多かったり、飲酒量が多い、運動不足など余剰カロリーは増える傾向です。
血圧、脂質(中性脂肪、コレステロール)、血糖値に留意し、内服治療を要するようになる前に対策しましょう。
ヘリコバクターピロリの検査をして陽性の場合に除菌をすることで胃がん発症は1%以下に減らすことができる年代です。
昨年より中学生の自治体ごとのヘリコバクターピロリの検査および除菌が進められています。
高い検査ではないので、自費でもヘリコバクターピロリ検査を胃腸科で受けることをお勧めします。
40代
男女ともに胃がん、大腸がん、肺がんの発症が始まります。発症率は高くありません。
ただ女性の乳がんは40代後半がピークを迎えますから、一番有用なマンモグラフィーは2年に一度受けましょう。
その間の年に乳腺超音波検査を自費で受けるとなお早期診断の可能性は高まります。
乳がん発症のピークは70代まで続きます。
男性ではメタボリックシンドロームの治療が始まるのが40代です。
一旦内服治療が始まっても、食事・運動療法で断薬することができます。
何も対策しないとその後長期に渡って治療することになる、ある意味ターニングポイントなのが40代といえます。
40歳からヘリコバクターピロリ検査が検診に組み込まれることが多いので、積極的に受けて陽性の場合は除菌しましょう。
9割以上の胃がん発症予防効果が期待できます。
50代
多くの場合メタボリックシンドロームの程度は悪化しやすい年代です。
女性は閉経後にメタボリックシンドロームのが初めて診断される方が急増します。
肺がん、胃がん、大腸がんの発症ままだ多くはありません。
男性では前立腺がんの発症が始まりますのでPSAの測定はがん検診の際に自費で追加するのがいいでしょう。
乳がんの発症は相変わらず多いのでマンモグラフィーは必須です。
60代
肺がん、胃がん、大腸がんともに発症が急に増加します。
しかし、一方でがん検診受診率が下がってしまう年代でもあります。
仕事をリタイアするとがん検診を夫婦ともに受けなくなる傾向があるのです。
がんが一番増えてゆく年代なのです。
メタボリックシンドロームが新たに発症することは少なく、すでに治療を始めている方が大半です。
女性の子宮がん発症は頸癌から体癌にシフトする時期です。子宮がん検診では多くの場合両方を診てもらうことができます。
70代以降
メタボリックシンドロームによる心臓や脳の血管性病変が直接命に関わる年代です。
がんの発症は最も