人気の人間ドック特集
一般的には人間ドックは日本人の死亡の原因となるメタボリックシンドロームを診断する特定健診とがん検診を同時に行うものです。30代から特定健診、40代からがん検診を受けることになります。
経鼻胃カメラや全身麻酔での楽な胃カメラ、大腸カメラ、脳ドック、PET、全身MRIがん検査などのオプションが付いているのもが人気になっています。
大腸がん・大腸内視鏡検査
男性の12人に一人、女性の15人に一人が大腸がんを発症しています。女性ではがん死のトップは大腸がんです。
大腸カメラは大腸がんの診断はもちろん前がん状態であるポリープの診断に威力を発揮します。
大腸がんの検診は検便による便潜血検査ですが、この検査で陽性になった方には大腸カメラの指示が出ます。
便潜血陽性者の数割に大腸ポリープが見られます。
ポリープがあった場合は、小さいもの以外は切除されます。
この切除で大腸がんの9割が予防されます。
大腸がんの9割以上が大腸ポリープから発症するからです。
人間ドックでオプションで受けると1から2万円代の費用が掛かりますが、便潜血で陽性の場合は保険診療で5千円ほどでお得に受けることができるのです。
大腸がんは40代から発症し始め、60歳から発症頻度が高くなってゆきます。
40歳を超えて便潜血で陽性だったら必ず大腸カメラを受けましょう。
大腸にポリープがあっても便潜血で陽性になるのは数割です。
便潜血陽性の場合はもちろん、40代に一度は自費で大腸カメラを受けることは大変有効です。
大腸がん・大腸内視鏡検査がオススメの方
喫煙率の減少やピロリ菌除菌の普及で肺がんや胃がんは今後減少してゆきます。大腸がんは女性のがん死の第一位を占めます。便潜血検査や大腸カメラなど大腸の検査を受けるのが望ましいのは以下の方です。
- ・排便時に出血がある方
- ・痔があって肛門からの出血が続いている方
- ・飲酒が原因の一つになっているので酒量の多い方
- ・過去に大腸ポリープを指摘されたころがある方
PET検査
一旦発がんすると何も治療をしなければがん細胞は無秩序に分裂を繰り返して腫瘍を形成します。
細胞の分裂に必要なのがエネルギー源であるブドウ糖です。
分裂を際限なく繰り返すがん細胞のエネルギー消費は多く、正常な細胞に比べて約3~8倍のブドウ糖を消費する性質があります。
従ってがん細胞には正常細胞より多くのブドウ糖が集積します。
PETの検査はまずブドウ糖にポジトロン核種という標識を付けたものを点滴で体内に入れます。がん細胞にブドウ糖によって運ばれたポジトロン核種はγ線を放出しますが、それをPETカメラでとらえるのです。
ブドウ糖を取り込んだがん細胞の部分はPETカメラでは黒く表示されます。
PET検査がオススメの方
PETは全身のがんを一度に早期に診断できる検査です。しかし、日本人に多い胃がん、大腸がん、肝臓がん、肺がんは残念ながら早期での診断は困難です。したがって、胃カメラ、大腸カメラ、便潜血検査、肺レントゲン検査、胸部CT検査などを受けた上でさらに比較的まれながんを診断したい方が受ける検査ということになります。
レディースドック
女性に特有の乳がんと子宮頸がんは発症が他のがんに比べて若年層に多いことはご存じですか?症は30から40代が、乳がんは40から50代がピークを迎えます。
メジャーながんである胃がん大腸がん肺がんは60歳から発症が増加し続けますから、女性のがんは早く発病するのが分かります。
子宮頸がんはパピローマウィルスの感染によって発症する感染症の一種です。感染がなければ発症しませんし、頸癌のワクチンを受けることで発症は半分になります。定期的な検診で早期に診断できるがんです。
乳がんは出産回数の減少によって発症が増加しています。11人に一人が乳がんを発症しており、女性のがんの発症は第一位で9万人が診断されています。乳がんは多くの場合早期で診断されており、乳腺を切除する患者さんは4万人に上ります。一方、死亡は年1万4千人ほどで致死率はがんでは最も低い部類に属します。
乳がんは発症率が上昇しつつあります。理由としては、一生での出産回数が減ったこと、初潮が早くなり閉経が遅くなってきたことです。乳がんの発症原は予防はできませんが、40歳からの自治体での1,2年に一度のマンモグラフィーを受けることで早期診断が期待できます。
30代では乳がんの発症は多くはなく、公的な無料の健診はないので、家族歴で近親者に乳がん患者さんがいる場合は自費で乳腺超音波検査を受けることがすすめられます。費用は5千円から8千円程です。
40代から何歳まででも定期的に検診を是非お受けください。
レディースドックはマンモグラフィーと子宮がん検診を同時に行うものです。
通常は1万5千円程の費用が掛かります。乳腺超音波検査や骨盤MRIを含んだりすることもあります。
レディースドックがオススメの方
がん検診ではそれぞれ、子宮頸がんは20代から、子宮体がんは50代から、乳がんは40代から受けるようにしましょう。乳がんの若年層の発症も増えてきていますので、30代女性は乳腺超音波検査を受けるのが望ましいといえます。2年に一度で十分です。
人間ドックのコースやオプションはどう選べば良い?
人間ドックは特定健診とがん検診を同時に行うものです。特定健診は20代から、がん検診は30代後半からが適切な時期です。特定健診は施設によって差はありません。がん検診の部分で施設によって差があったりオプションの設定が出てきます。
日本人の場合、肺がんと胃がん・大腸がんで男性は5割、女性は4割が命を落としています。したがってこの3つのがんの診断が優先されます。オプションとしては低線量胸部CT、胃カメラ、大腸カメラがまず挙げられます。
子宮頸がん、乳がんのマンモグラフィー・乳腺超音波検査は公的ながん検診でも受診率が低く、人間ドックのオプションで選択したいものです。PET-CTや全身MRI検査は一度に全身のがんを診断できるもので、40代からオプションとして数年に一度受けるのも選択肢に入ります。
男性・女性ホルモン、脳ドック、がん腫瘍マーカー、アレルギー検査、甲状腺、肺年齢、骨密度、新型コロナ抗体検査などは必要に応じて選択しましょう。